紡績について解説します。
こんにちは。アパレルアイの海内です。
前回、糸の歴史について解説をさせて頂きましたが「糸」はどうやってできるのでしょうか?私たちのようなアパレルメーカーでは、一般的に生地の段階から検討を行うので、なじみの少ない部分ですが、今回は【紡績】について解説してみたいと思います。
目次
- 紡積とは
- 製糸と紡糸
- スパンヤーンとフィラメントヤーン
- まとめ
紡績とは
「紡」(つむ・ぐ)は撚り合わせることを意味し、「績」(う・む)は引き伸ばすことを意味します。
この二文字を合せて紡積とは、原料となる綿や羊毛などの短繊維を撚り合わせて1本の長い糸にする工程のことを言います。紡績によってつくられた糸が紡績糸(スパンヤーン、ステープルヤーン)と呼ばれ、綿とポリエステルの様に複数の種類の繊維を混ぜ合わせて紡績することを混紡と言います。
製糸と紡糸
紡績糸に対して、長繊維の絹を蚕の繭から繰り出し、バラバラにならないように数本をまとめて撚る工程は製糸と呼ばれています。一方同じ長繊維でもナイロンの様に高分子材料から新たに繊維をつくることは紡糸と言います。
紡糸には、ポリエステルやナイロンをつくる溶融紡糸、アセテートやアクリルをつくる乾式紡糸、レーヨンなどをつくる湿式紡糸の3つの製法があります。こうして作られた糸をフィラメントヤーンと言います。
スパンヤーンとフィラメントヤーン
これらの方法でつくられたスパンヤーンとフィラメントヤーンはそれぞれの用途によって選ばれています。
一般的にはスパンヤーンは短繊維を撚り合せて紡績してつくられるので、毛羽(繊維の端)が出て、それが肌に触れることで肌触りが良くあたたかみを感じます。一方フィラメントヤーンには毛羽が無いので見た目はすっきりとしたきれいな表情になりますが、肌触りは冷たく固めの風合いになります。ここから撚りを多くしたり、また出来上がった糸をどのように織る(編む)かで生地の表情や風合いが変わってきます。
まとめ
「績」という文字を調べると「物をつくりあげるわざ。しごと。仕上た結果。」となっています。一方「紡ぐ」という言葉には“糸にする”という意味だけでなく、色々な言葉を選んで、ひとつの文章をつくることを表す「言葉を紡ぐ」や一人一人との出会いが、色々な人との縁をつくることを意味する「縁を紡ぐ」というような比喩としても使われています。
私たちは出来上がった「生地」を見て商品企画をしておりますが、その前にこれらの多くの“工程”があり、多くの人の“仕事”によって糸が出来がっているのです。そうしたことから「紡」や「績」という文字はこのような使われ方をされているのでしょう。
海内 孝治
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