
レディースパンツの企画に役立つ|織物と編物の特徴
こんにちはアパレルアイの海内です。
私たちは様々な素材を使用してパンツを企画していますが、今日は私たちがパンツを企画する際に考える、織物と編物の特徴と素材のメリットを活かした商品づくりについて解説します。
目次
- 織物とは
- こんなパンツには織物が向いている!
- 編物(ニット)とは
- こんなパンツには編物(ニット)が向いている!
- まとめ(今こんな素材が売れている!)
織物とは
織物は上の図の様に経糸(たていと)と緯糸(よこいと)が交差して組織を形成した布地です。
この経糸と緯糸の素材や糸の太さを調整して生地の性格が決まります。
代表的な織り方には三原組織と呼ばれる平織・綾織・繻子織がありますが、今はこれらの組織を複雑にしたり糸の調整を行い独自性のある素材づくりがされています。
ウィキペディアで調べてみると、植物繊維による織物を「布」、絹織物を「帛」というそうです。
両者を合わせた布帛(ふはく)は織物を指す言葉として私たちも良く使用している言葉ですが、このように使い分けをすることを恥ずかしながら知りませんでした。
まだまだ勉強不足です。
こんなパンツには織物が向いている!
織物素材は編物と比べて丈夫でひざ抜けや型崩れが少なく、形態が保ちやすいのが特徴です。ストレッチ性では編物に負けてしまいますが、しっかり感と上質感を求めるパンツには織物が向いています。
ジーンズやチノパンのように丈夫さとカジュアル感が求められるアイテムや、お仕事などキチンとしたシーンではきたいパンツにも織物の方が向いています。
コーディネートの面では短い丈のトップスに合わせたいパンツの時には織物が向いています。(ニット素材ではヒップや身体のラインを拾いやすいのでちょっと心配ですよね。)
織物を使う場合の注意点としては、しっかり感とやわらかさやストレッチ性を兼ね備えた素材を使用することです。
適度のハリコシ感がある素材でありながら、ソフトな風合いと動きやすいストレッチ性がある素材だと、見た目とはき心地のどちらも両立できます!
編物(ニット)とは
編物とはループを作り、そのループに次の糸を引っ掛けて連続してループを作り面を形成する編地です。英語を用いてニットとも言い、江戸時代から1950年ごろまではメリヤスとも呼ばれていました。こちらは経糸や緯糸という概念はなく1本の糸を使用して編まれた布地です。ちなみに私たちパンツメーカーの人たちは一般的に“ニット”と呼んでいます。
編物には経編と丸編とがあります。
経編の場合わかりやすいものがハイテンション素材です。パンツ素材としてストレッチ性に優れて型崩れもしにくい。まさに万能素材です。
一方丸編み素材で良く使用するのがポンチ素材です。型崩れしやすいデメリットはありますが、やわらかくドレープ性がありワイドパンツなどに最適です。
こんなパンツには編物(ニット)が向いている!
ニット素材はストレッチ性が優れており、しわになりにくく、通気性が良いのが特徴です。丈夫さやしっかり感では織物に負けてしまいますが、動きやすく、楽なはき心地を求める場合は編物が向いています。
スポーツウェアやスウェットパンツに代表されるように良く伸びて動きやすいパンツに向いています。
レディースパンツで考えてみると、旅行や出張等の様に移動が多い時にはニット素材のパンツは動きやすくてシワになりにくくとても活躍してくれます。
また今流行の“ゆるみ”のあるシルエットにも落ち感のあるニット素材は最適です。
ニット素材を使う場合の注意点としては生地の表情が安っぽく見えない事がポイントです。“楽で動きやすい=部屋着”となりがちです。糸や組織、編み方で調整して織物のような上質感のある表情に仕上げることが重要です。
もう一つは、ひざ抜けや型崩れの対策です。型崩れしにくい組織の編み方にするのか?またはシルエットの工夫で型崩れの心配がないパンツにするか?という事を考えて企画します。
まとめ(今こんな素材が売れている!)
このように織物と編物では違いがあり、それぞれメリット・デメリットがあります。
しかし今はそれぞれの特徴を活かしながらお互いの良いところを取り入れた素材が多く開発されています。
今売れている素材は織物のような編物。編物のような織物です。
例えば、スキニージーンズに使われるようなスーパーストレッチデニム。スキニーシルエットですから体のラインを拾いにくいしっかり感も必要ですが、はいた時にストレスを感じないようなやわらかさやストレッチ性が必須です。
ニット素材のジャケットやシャツ。これらは従来きちんと感を出すために織物で作られることが一般的でした。
ジャケットやシャツも動きやすさや快適さを求められるようになり、キチンと感があるニット素材が開発されました。
このように『いいとこ取り』した素材を活かしたアイテムが売れています。
織物と編物の垣根を越えて、肌触りが良く、良く伸びて、しっかり感もあり、型崩れしにくい。シワになりにくく、イージーケア。
そんな素材を今後も開発し提案していきたいと思います。

海内 孝治

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