中国で進む環境規制と染工場の状況についての最新情報
こんにちはアパレルアイの海内孝治です。
先週一週間中国へ19S/Sの素材収集の為、出張してきました。
新しい素材やお目当ての素材が色々ありましたので、次の企画を楽しみにしおいて下さい。
今回のブログはこのところ問題になっている中国の環境問題についての最新情報をお伝えしたいと思います。
目次
- 経済よりも環境
- 国をあげた環境対策
- 中国政府と染工場の対応
- 問題は汚染水の制限
- まとめ
経済よりも環境
世界の工場として大きく発展してきた中国ですが、中国政府はこの数十年にわたり看過してきた環境問題に取り組み “中国に青い空を取り戻す”として法整備や取り締まりを積極的に進めています。
国をあげた環境対策
中国ではこの一年間で汚染対策をかつてない勢いで進めており、国をあげた環境対策により製造業では広い範囲で影響を受けています。
私たちが関わるアパレル業界では染工場が一番影響を受けており、操業停止や汚染水の制限により大幅に生産数量が減少しています。
結果的に納期遅れやコストアップ、また品質面での影響も出ています。
中国政府と染工場の対応
これから大きなお金をかけて設備投資をすることが出来ない工場は操業停止をせざるを得ません。しかしそれでは繊維産業は衰退していくばかりです。中国政府も汚染対策を行う企業に対してバックアップを行っています。
早い段階で取り締まりが厳しくなった『紹興地区』では中国政府のバックアップもあり染工場が集まる工場団地が出来、汚染対策が整った新しい工場が稼働し始めており少しずつ落ち着きを取り戻している様子です。
しかしそれ以外の地区ではまだまだこれから規制や取り締まりが厳しくなり引き続き影響があると心配されている生地屋さんも多くありました。
問題は汚染水の制限
汚染水対策が整った工場でも、排水出来る汚染水の量に制限があるので、今まで通り稼働できるわけではありません。今までは24時間、工場を止めずに生産をしていました。その分、汚染水を排水していたわけです。
しかし各工場に対して、汚染水の排出できる量には制限があり、稼働時間は大幅に減っています。
生産が落ち着いたと言っても今まで通りの生産量には戻らないのです。
しかしそこは中国。操業停止した工場の枠を売買したりと工夫があるそうです。
まとめ
リードタイムが長くなることは今の日本のアパレルにとっては大きなダメージです。
しかし、かつて日本もそうだったように環境を犠牲にして経済を成長させていくやり方には限界があります。
中国にとって汚染対策は避けては通らない大きな問題です。
今、日本のアパレルは中国無しでは考えられません。
環境問題を抱える中国の工場と上手に付き合っていくしかないのです。
今までのように短納期、小ロット、品質アップ、コストダウンの全てを追及して生産をしていく事は難しくなっていくと思います。
“リスク” “リードタイム” “コスト” “品質”という問題について何を選ぶか考えなくてはいけない時がすぐそばに来ています。
海内 孝治
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