中国環境問題と染工場の現状
こんにちは。アパレルアイの海内です。
少し前に問題になった染工場の汚染水排出の環境問題ですが、当時は納期遅れが頻繁に発生し先行きが見えない状況でした。
今はどのようになっているのか?その辺りの事を今回のブログで解説します。
目次
- 染工場の汚染水問題
- 現在行っている方法
- 現在起きている問題
- まとめ
染工場の汚染水問題
中国政府は染工場から出る汚染水について、一定の設備の設置を義務付け、また排出できる一定量の制限を設けました。設備の整っていない染工場は設備を整えるまでは営業停止となり、また大きなお金を投資することは難しいと廃業する染工場も多くありました。そうした中で一気に染工場のキャパがなくなり納期遅れがどの生地屋さんでも発生し、またこのことによってコストも上がりました。各染工場で排出できる汚染水の量にも制限があることで設備を整えればすべて解決という事でもありません。では一体染工場ではどのようにして営業しているのでしょうか?
現在行っている方法
廃業する染工場が多くある中で、染めのキャパは激減しました。その中でも毎シーズンある程度一定の量が中国の染工場へオーダーが出ています。染工場が減り、汚染水の排出制限がある中でどのようにして一定量のオーダーを消化しているのでしょうか?廃業した工場から汚染水を排出する権利が売買されているというような噂もありましたが、それくらいオーダーを希望納期に合わせて消化して行くのは難しい事です。実際に今行っている汚染水を大量に排出しない方法は汚染水の再利用です。薄い色から染めていき、薄い色を染める時に出た汚染水を再利用して濃い色を染めていくことで汚染水を大量に排出しないようにされています。
現在起きている問題
再利用した汚染水で染めた場合どのようなリスクがあるのでしょうか?ご存知のように染めの工程できれいな水は必須です。そんな中淡色から濃色の順に染めるとしても汚染水の再利用はやはりリスクが大きいものです。特に問題が起きやすいのが、ベージュやライトグレーなどの淡色です。これらの淡色はブラウン系などの濃い色と比較して問題を隠しにくいので色ムラや縦スジ、中希などの問題が起きやすくなっており、やり直しをしても同じようになってしまう可能性が高いため改善が難しいのが現状です。
まとめ
環境問題と品質問題。なかなか改善が難しい問題ですが実際のところ、今は環境問題に配慮しながら上手にやっていくしかないのが現状ではないでしょうか?モノづくりをして行く中でいかに持続可能な方法で生産をして行くか?という事が必要な時代に突入しています。一方で現実的には問題なく企画した商品を生産していくためにはこれらの問題がついて回るという事を頭に入れておかなければなりません。その為にやはり余裕を持って早めにオーダーをして行くことが大切ですね。
海内 孝治
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