暫定8条 | 輸入時の関税制度
こんにちは。福永泰士です。
梅雨も明け、秋物がドンドン入荷しております。
当社は様々な生産背景があり、日本素材を日本で縫製、海外の素材を海外で縫製して輸入、日本の素材を海外へ輸出して縫製、それを日本へ輸入したりなど・・・
今回は「暫定8条」と言われる、日本の原材料を海外で加工し、日本へ再輸入する時に適用される関税制度を解説します。
目次
- 暫定8条とは
- 暫定8条とEPA(経済連携協定)
- まとめ
暫定8条とは
暫定8条、通称「暫8(ざんぱち)」と言われますが、これは関税暫定措置法第8条の略称です。
原材料を日本から送り、海外で加工した後、再度日本に輸入する場合に一定条件のもと、関税を軽減することができる制度のことです。
例えば日本の生地を中国に送り、中国で縫製しパンツに仕上げ、そのパンツを日本に輸入する際には関税がかかります。日本の生地を使っているのに、パンツ全体に関税がかかるのはおかしいですよね。これを解消するための制度です。
税関に加工することを目的とすることを伝え、完成品を輸入する際にはこの生地分の関税は支払わなくてよくなります。
暫定8条とEPA(経済連携協定)
現在アパレル業界においては、東南アジア諸国での生産が急速に増えています。これまでの生産の中心国である中国でのコストアップなどもありますが、EPAも大きく影響しております。
EPAは国と国との協定で、EPA締結国間では、輸入品に対して一般の税率よりも低い税率で輸入することができます。アパレル品の多くは、無税で輸入することができます。
当社の場合だとカンボジアやベトナムで生産している商品があり、これらの国で生産した商品は関税がかからずに輸入されています。
様々な要因があるのですが、特に東南アジアでの生産環境が整ってきた昨今は暫定8条を利用したものづくりは減っており、EPA締結国での生産が増えてきています。
まとめ
商品をできるだけ安くつくろうとすると、生地や縫製の値段だけではなく、こういった制度を利用した「どこで、どのようにつくるか」ということも考えなければなりません。
中国で生産すると関税はかかるが、早く生産できる。カンボジアで生産すると、時間はかかるが関税がかからない。など、どこで生産するにしてもメリット、デメリットがあります。
こういったことも考えながら、商品づくりをしています。
福永 泰士
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