ファッションにおける天然繊維|絹
アパレルアイの福永浩士です。
絹製品(シルク)といえば…個人的にはネクタイぐらいしか見かけないですかね。そのネクタイもクールビズの浸透で大打撃のようです。かつては日本の産業を支えた絹製品。1909年には生糸の生産量は世界最高となったほどです。そのとき大活躍した富岡製紙場は2014年に世界遺産登録されました。
そんな絹についてのあれこれを今回はご紹介いたします。
目次
- 絹の特徴
- 皇居内でも養蚕
- 蚕は独力で生きられない地球上で唯一の生物!
- まとめ
絹の特徴
絹は「動物繊維」の一種です。(参照:「ファッションにおける天然繊維/動物繊維編」https://blog.apparel-ai.com/production/1555)蚕が造る繭から生糸を経て絹となります。紀元前3000年ごろから中国で生産が始まっていたとも言われ、大変歴史のある糸です。
絹は蚕が吐き出す分泌物からできている糸ですので、動物性たんぱく質で出来ており、下記の特徴があります。
【長所】
・美しい光沢
・しなやかでドレープ性が高い
・素肌にやさしい(人間の皮膚の成分に似ている)
・静電気が起こりにくい
・夏涼しくて、冬暖かい
【短所】
・シミができやすい
・太陽光に弱い(すぐに黄ばむ)
・虫に食われやすい
・摩擦に弱い
・水に弱く、家庭での洗濯が困難
・値段が高い!
皇居内でも養蚕
明治初期より紅葉山御養蚕所にて歴代皇后により養蚕は続けられています。現在美智子皇后さまが皇居内で続けられている養蚕について、来年4月末の天皇陛下の退位後は新皇后となる皇太子妃雅子さまに引き継がれるとの発表がありました。
当初は産業奨励の意味があったようですが、現在は伝統文化の継承という側面をもっているようです。春に「御養蚕始の儀」に始まり、初夏の「御養蚕納の儀」で終了します。
採れた絹糸は宮中儀式や祭祀、贈物などに使用されるほか、文化財の修繕にも使用されます。
蚕は独力で生きられない地球上で唯一の生物!
カイコは家蚕(かさん)とも呼ばれ、家畜化された昆虫で、野生には生息していないようです。またカイコは、野生回帰能力を完全に失った唯一の家畜化動物です。餌がなくなっても逃げ出すことなく、人間による管理なしでは生育することができません。体色が目立つ白色で、野外の桑にとまらせても、ほぼ一昼夜のうちに捕食されるか、地面に落ち、全滅してしまいます。幼虫は腹脚の把握力が弱いため樹木に自力で付着し続けることができず、風が吹いたりすると容易に落下してしまいます。成虫も翅はありますが、体が大きいこと、飛ぶために必要な筋肉が退化していることなどにより、羽ばたくことはできても飛ぶことはできないそうです。
まとめ
絹の長所を生かしつつ、短所を補うために開発されたのが「人造絹糸(=レーヨン)」です。(参考:「ファッションにおける化学繊維/再生繊維編」https://blog.apparel-ai.com/planning/1386)
なかなか絹を見る機会も減りましたが、見かけたときには今回のあれこれを思い出してくださいね!
(虫が苦手な方、申し訳ありません!)
福永 浩士
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