アパレルの価格変動の要因
みなさんは、アパレル製品ができるまでの価格について思いを巡らせたことはありますか?
メーカーとしては、「この上代で市場に提供するために、この金額までに抑えて作ろう」と考えながら商品づくりに取り組んでいます。実際のところ、原価レベルではいろいろな変動要因があります。今回は価格変動の要因について説明いたします。
目次
- 生地
- 工程
- 為替
- 電力
- まとめ
生地
- 品質
糸や生地の種類でまず違いがあります。「○○の厳選されたものを使って…」とか「△%しか取れない素材を…」とかよく聞きますよね。また糸そのものの太さなどでも変わります。
そして糸や生地が持つ機能(接触冷感、UVカット、防透、撥水…)の有無、プリントの有無でも変わってきます。 - 数量設定
生地を発注するとき、発注数量が多ければ、生産効率が上がるので割安になります。逆に少ない、ロットに満たない場合はアップチャージになります。 - 在庫orオリジナル
生地メーカーが在庫として構えている生地か、アパレルメーカーが生機から依頼して作ってもらったオリジナルの生地か、ということでも変わってきます。また生地を手配する際、間に入る企業が多いほど中間マージンがかかりますので、その分コスト高になります。 - 分量
夏と冬では生地の厚さ重さが違いますし、同じ生地でもアイテムによって用尺が違います。パンツの場合、スリムよりワイドパンツの方が用尺が多いですよね。その分生地値がかかります。
工程
縫製工程においても、デザインにより、工程数の多さや複雑さでも工賃が変わってきます。また柄物の場合、前身や後身、そして脇の部分(パンツの横のライン)の縫製を、柄が揃うように縫い合わせるというのも手間がかかるので工賃が上がります。
その他にもプレスや検品のレベルによってコストが増減します。
為替
生地や縫製工場が海外の場合、生地そのものや工賃・人件費、あるいは出来上がった製品を外国通貨で支払うことになります。日本を基準に考えると、円高の場合はお得になります。円高傾向の場合、より良い生地を求めたりひと手間かけたりすることもできるので、現在のアパレルを取り巻く環境(アパレルの大半は海外から輸入)から考えると、円高の方が好ましいと言えます。ただ、中国企業を相手に米ドル建てで決済する場合、円高ドル安の状況でもドル安元高であれば、為替が良い状況とは言えません。表面的な円高だけでは良いとか得してると一概には言えないのです。
電力
一般にはあまり知られていないかもしれませんが、北陸電力が「高圧」「特別高圧」を契約している法人を対象に2018年4月1日から電気料金の値上げを実施します。(値上げの理由は、「原発再稼働の見通しが立たず、経営効率化での補填に限界がきたため」だそうです)
北陸には染工場がたくさんあります。現在中国では環境問題への取組から、稼働している染工場が限定的になり、その影響で日本の染工場がキャパオーバーの状態になっているそうです。そういった影響も含め、アパレル製品においても価格に反映されるかもしれません。
まとめ
上記の要因が全てではありません。その他にも、石油価格が上がれば原材料や運賃、各種機械の動力費なども上がるなど、様々な要因があります。
「店頭では大体これぐらい…」と思われている価格も、内情や背景を知ることでまた異なる価値感があると思います。様々な要因がある中でも、常に価値感がある商品の提供に努めて参ります。
福永 浩士
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